投資判断における「配当金」の意味合いとは?
株式投資を行うにあたって、要素の一つに配当金と言うものがあります。
ご存知のとおり、利益の一部を株主に還元するというものです。
投資を行う上で、良く言われるのは配当金は投資の判断基準から除外すべきという言葉です。
これは株式投資の原則として、安く買って高くうることでキャピタルゲインを得ると言う考え方に起因します。
いくら配当金を貰ったとしても、売却損を出してしまっては帳消しですから、キャピタルゲインを得ることを第一に考えなさいと言う話です。
ごもっともな話ですね!
まあ、配当ならいくらかの現金が手に入っているわけですが、株主優待などに目がくらんで株式を購入してしまうと目も当てられません。
たいていの場合、現金で株主優待相当のものを購入した方が圧倒的に安くなります。
私も基本的には、株主優待を目的に株式を購入することはないのですが、過去につい株主優待に目がくらんで株式を購入してしまったことが少しだけあります。
例えば、外食チェーンで「北前そば高田屋」などを運営しているタスコシステムと言う会社を買ってしまったことがあります。
株主優待だけが目的だったわけではないのですが、渡り蟹などが入った冷凍セットが毎年贈られてくるのについ気持ちがぐらついてしまいました・・・。
美味しそうだったので・・・(笑)
結局、2008年12月に上場廃止となり、その後、タスコシステムから株券が送られ来ました。
始めて生の株券を見る機会になったので、まあ良い思い出ではあります。
まあ、今も引き出しの中に入ってますが・・。(笑)
かなり話がそれましたので戻します。
株式投資を行うにあたって、配当は投資判断を行う基準に含めるなと言う話でした。
確かに、配当を前提に株式投資を行うと、上記のように判断基準を誤る恐れが高まりますのでごもっともな意見だと思います。
ただ、そうなると一つの疑問が生じます。
例えば、ウォーレンバフェットは株式の「永久保有」をうたってます。
仮に偉大なバフェットの永久保有の投資スタイルが正しいものとしましょう。
そうなると、売却タイミングは無くなりますのでキャピタルゲインは期待出来ないと言うことになります。
一方で、配当も投資判断に含めない場合、配当収入も期待できない(≒期待すべきではない)と言うことになります。
では、、何から収益を出したらよいのでしょうか?
そもそも収益が期待できないのなら、リスクを負ってまで株式投資を行うメリットなどあるのでしょうか?
実は、私も昔、上記を疑問に感じ色々と考えました。
投資とはこのような疑問に感じたことを、自分なりに調べ解決していくことを繰り返すことによって、知識レベルが増し、多角的な視点で投資判断が出来るようになって来ます。
また、話がそれそうになってしまいました・・・。
戻します!
誤解を覚悟で言いますが、ウォーレンバフェットは、ある意味誰よりも配当を重視した投資判断をしているともいえるのだと思います。
配当と言ってしまうと誤りなのでしょうが、会社が稼ぐ収益と言った方が良いのかもしれません。
ウォーレンバフェットの投資は、我々などの小粒の投資家と違って、多くの場合が会社そのものの経営権も取得するレベルで投資を行います。
ですから、バフェットが投資した会社の収益は、バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイの傘下に入ることでバフェットのコントロール下に入ります。
そのため、傘下に収めた会社が得る収益は、「企業拡大のための再投資に回すも良し」、「他の企業をM&Aするための原資にするも良し」、「配当に回すも良し」と色々と手法を講じることが出来るようになります。
何れの手法を講じたところで、結局、投資主であるバークシャー・ハサウェイの収益拡大に寄与すると言うわけです。
ですから、株式を数年後に高く売ろうと言うよりは、長年にわたって安定的に高い収益を出し続けてくれる会社が最も都合が良いわけです。
もし、バフェットが株式を売ろうなどの動きを取れば、知名度や保有数の関係から、あっという間に情報は世界を駆け巡り、対象の株価が下がってしまって売るに売れないでしょうしね。
私たちが投資を行う場合、バフェットのように会社そのものの経営権を取得できるほどの資金は持ち合わせていません。
ですから、バフェットのような投資は出来ないでしょう・・・。
しかし考えて見れば、我々が投資を行う場合も、ある意味考え方は同じかもしれません!
当然、安定して高い収益を出し続ける会社は、高い配当を出し続けてくれる可能性があります。
数%の配当が高いかどうかは別議論として、安定的な配当収入は魅力的であることは間違いありません。
また、成長段階の会社に良くあることですが、配当は出さずに起業拡大の為に再投資すると言うこともよくあります。
企業が成長すれば、当然ですが株主に利益をもたらしてくれます。
永遠に企業が成長してくれれば良いですが、成長が止まっても配当を出さないのであれば、そのタイミングで売却したとしても十分なキャピタルゲインが期待できます。
ですから、株式投資を行うにあたっては、単純な受け売りのように「配当は投資の判断基準に含めるな」と言うのは少々浅はかのように感じます。
勿論、「安定して高い配当を出している会社」と言う点だけをとらえて投資するのは危険だとは思います。
但し、
安定して配当を出せているビジネス背景をしっかり理解しそれで良いと判断出来ること。
そこから得る収益が、自分の投資基準に照らし合わせて満足出来るものであること。
ならば、投資対象を判断する場合において、充分に検討する価値がある基準なのだと思います。